アラクネの書棚

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うひょ氏『ねじまきカプリス』(SukoshiFushigi,中編連載中)

真新しい学生服を着た山田くんは、高校の前で拾ったプルタブを磨きあげて保存し、玄関のタイルの冷たさを喜び、登校初日から遅刻したことを先生に叱られる。そんな風に始まる奇妙な転校生の物語。
■『UN ART-FICIAL STORY』→『ねじまきカプリス

以下感想、ネタバレあり。
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うひょさんから、「感想推薦」ということでいただいた作品なのに、きちんとした感想を書くのがなかなか難しく、ひどくハンパかつ遅くなったことをお詫びいたします。
正直、何から書いていいのかわからないのですが。きちんと構成した感想を書こうとすると、永久に出ないような気がするので、とりとめなく、考えたことを挙げてみます。

 □

すこし常識とズレた主人公のこと。私が子供のころ好きだった、微妙に常識とズレた、「チト」という男の子(『みどりのおやゆび』)。チトは、アンドロイドではなかったけれど。

アンドロイドが常識を知らない、ということ。映画『A.I』で、トイレを開け放ってしまうアンドロイドの少年。こんな未完成な製品を、リリースするかしら?というSF仲間との議論。山田くんは、開発中だから、知らないことが多くてもいいのですが。

サイエンスフィクションとしてのアンドロイドと、『ねじまきカプリス』との距離感。サイエンスフィクションというよりは……、、「すこし(S)・ふしぎ(F)」って、(c)藤子不二雄でした?

何年か前の、あるコンピュータ技術者との議論。
「人工知能に感情を与えるのって、人道的にどうよ?」
「人道的って?」
「人工知能が、自分が人工知能に過ぎないって気づいたときに、カナシイんじゃないかってこと」

山田くんは、少しもカナシそうに見えません。明るくて、優しくて、のんきで、ちょっと生まじめ。

カプリス、という単語を、ネットで検索したこと。フランス語で、「気まぐれ」「気まま」。音楽用語としては、技巧的な器楽小品。

『ねじまきカプリス』は、ひどくのんびりと、脳天気な調子で始まります。山田くんにとって世界のすべてが、新鮮で。
学校に入ると、教師という、学校の枠組みの中だけの小権力と出会います。少し、シニカルに。
柏原という少女を舞台に迎えると、物語はにわかに緊張します。
視点はいったん柏原を離れて、用務員・小倉との出会いと永訣が語られます。

シーンごとの色合いの違いと統一感。まるで、暖かな色のパレットを覗いているような。「気まぐれ」「気まま」? いえ、もっと、技巧的な彩りのハーモニー。

『みどりのおやゆび』のチトは温室で老人に、花を育てることを習いました。山田くんは、学校の花壇で、用務員の小倉さんに、花の植え方を習います。たぶん、それは、『みどりのおやゆび』の直接の影響とかではなく、「植物を育てる」という行為がもつ「何か」を、物語が必要としていたのでしょう。植物は、しゃべりません。静かにそこにあり、そして、生きています。

『みどりのおやゆび』のチトは、結局、天使でした。人間の、外側の存在。人間を見守る存在。

山田くんは、ピノキオのように人間になっていくのか、チトのように「どこか」へ行ってしまうのか、それとも、物語は違う方向へ進むのか。それがちょっと、気になっています。
現在、5章中、3章。すでにタイトルが上げられていることからして、作者に、ラストまでの腹案はあるのだと思いますが。

(2006.4追記 本作品は、この感想後、さらに連載が進行しています)

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  1. 2005/11/06(日)
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