アラクネの書棚

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わなたべりえ氏『化け猫』(現代FT,短編)

化け猫の住む家に一人の女がやってくる。
女は、化け猫に仕えるために来たという。

「作中の事実」と「願望」が錯綜する、幻想的な短編

■わたなべりえ氏(=姫氏)サイト『姫様御殿』→短編→『化け猫

以下感想、ネタバレあり。
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いくつかの読み方を、頭の中で同時に走らせながら、読了。


第一の読み方は、書いてある通りに読む。
猫は化け猫であり、女は化け猫に仕えるために来た。

第一の読み方は、男が女を追ってきたとき、猫がまったく対抗できなかったことで、あっさりと破綻してしまう。

第二の読み方は、全ては猫の願望だという読み方。
猫は化け猫でありたかったのだ。でも、実は人語さえわからない。家に来た女が何を言うか、暴力を振るう男のセリフさえ、猫の想像であって、猫の想像は当たっている部分もあるかもしれないし、ないかもしれない。

第ニの読み方をするには、男のセリフがあまりにリアルで、猫の想像を越えている感じがする。


第三の読み方は、全ては女の解釈だという読み方。

ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力/子供の暴力より大人の暴力を指す)は、しばしば、「共依存」という病理と関連づけて語られる。共依存、とは、暴力を振るわれる側に「自分が見捨てたら、この人は、ダメになってしまう」「だから、逃げられない、他人に助けを求めることもできない」という思いがあって現状の環境から自分自身を救うことができない、…すなわち、暴力を受ける側が、実は、「自分の価値は、この人を救う(この人に耐える)ことがある」と暴力を振るう側に心理的な依存関係を持ってしまうことをいうらしい。(私も専門家ではないので、要約はアバウトですw)

女は、夫の暴力に耐え切れなくなり、ようよう家を出るが、「奉仕」する相手なしには、自分を保つことができない。そしてその相手として「化け猫」を選ぶ。だか、男が追ってきて、幻想が破れる。

しかし、この読み方も、猫視点の文章と微妙に整合性がとれない。


第四の読み方は。
母の言葉が、この世界を歪めた、という読み方だ。

母の言葉、言霊、あるいは呪(しゅ)によって、子猫は、女と猫自身にとってだけ、化け猫となる。彼らの主観のなかでは、それは真実なのだ。化け猫の力はたった一つ。人語を解することだけ。母の言葉を聞いていない男にとっては、猫はただの猫にすぎない。結界も客観的は存在しない。他人とほんの少し違う世界を、猫と女だけが共有している……。


「わかりやすい話」ではない。読み手は、「物語の中の真実」を求めて、頭を働かせなければならない。
しかし、作者の意図を推測しながら、手さぐりで物語のなかを進むのは、何も考えずに読める「わかりやすすぎる話」を読むのとは別の楽しさがある。

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  1. 2005/12/01(木)
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