アラクネの書棚

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立田氏『Encyclopedia Dragonica』(FT,80枚)

 かつて絶南の宝珠、滄海の楽園と呼ばれた街「蜃邑」は、いまも伝統の様式の建物が並ぶ旧市街と、高層ビルのある新市街の双方を擁する観光都市となっている。
 古い希書の研究のためにこの街を訪れたエンは、黄龍の伝説を聞き、金花と銀花という二人の少女に引き合わせられた。

 祭りの気配あふれる小都市を舞台としたファンタジー。

■立田氏サイト『』→Encyclopedia Dragonica

以下、ネタバレ感想。
Open▽
 実は、先週末にこの作品を拝読し、22日の日曜夜に作者に感想のメールを差し上げ……たのですが。
 その後丸2日、気がつくと、二人のヒロインのことをぼーっと考えておりまして。
 しまった、遅効性毒物であったか、と思った次第←褒め言葉。

 以下は火曜の夜に書き直して、作者サマにお送りした感想文です。許可をいただいたので、ブログにも転載。


 実は、この物語、作中世界に入り込むのに、少しばかり手を焼きました。
 不思議なくらい、ヒロインたちの表情が見えてこない。
 祭りの飾りに彩られた街並が見え、エッグタルトの甘い匂いまで漂ってきそうなのに、ヒロイン二人の姿だけが、チャイナドレスの剪紙の形に切り取られたように、見えてこなかったのです。
 そのことが気になって、話に入り込んだような、入りそびれたような、中途半端な状態で読み進めていたのですが。
 二人の正体がわかったとたん、硬い蕾が色鮮やかに開くように、ヒロインたちのイメージがはっきりしました。
 見えなかった、というより、見せていただけていなかった、ある意味、意識的に伏せられ封じられていたのですね。


 一番の後悔は、最初に書いた感想(作者にお送りしたもの)に、百科事典が物語りに絡んでない、などと書いてしまったことです!
 そうじゃないですね! 後から気づきました。あれは、意味がわからないことに意味があるのではないですか。

 龍と契約者は双子として生まれる。幼いうちは家族さえ区別がつかないほどに、相似た存在として。
 いつも、そうなのかは判らないけれど。すくなくとも金花と銀花については、銀花が先んじて「自分が契約者(後継者)であること」に気づいて。ただそばにいたいばかりに、超常の力をもって金花の覚醒を抑制する。だから金花は無邪気に自分を「やがて街を離れるべき人間」と思いこんで育つ。

 けれど、銀花の危機にあって、金花は
「それが望まれていないことだとしても? もう、今の状態には戻れなくなったとしても?」
という問に、
「銀花を助けられるなら、何を犠牲にしても惜しくないわ。」
と答え、龍として覚醒する。エンの助けがあったにせよ、第一に重要だったのは金花自身の選択だったのだと思います。

 物語はこの後すぐ、二人が互いの気持ちを確かめ、まだ幸福である間に幕を引くのですけれど。

 二人の距離は、たぶん、離れていくのですね。
 龍が覚醒し、龍がより龍らしく、人とは違うものになるにつれ。
 異なる物の見方、異なる言い表し方。共に居られないほど、この地を去らねばならないほどの、異なった存在。

 もしかして百科事典は、そのことを悲しみ、けれど後代の後継たちにそれを納得させるために、初代契約者が保管し当主以外は見ることができないものとして遺したものではないのかと。そう見れば、百科事典が最初に書かれ、最後に銀花が言及して終るこの物語の輪が、きちんと閉じているのだと思えてきます。

 ……どこが話にからんでないって?>自分


 大変失礼をいたしました>立田さん

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  1. 2006/10/28(土)
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コメント

ありがとうございます

 麻生さん、こんにちは。拙作をご紹介いただきまして、誠にありがとうございました! もっと早くに御礼に伺おうと思っていたのですけれど、こんなに遅くなってしまって申し訳ございません。

 この話は、私が比較的苦手とするファンタジーものということで、一体どんな仕上がりになるのか自分でも不安だったのですが(笑)一応はそれらしくなったようで安心しています。双子については、ご指摘いただいているように意図的に伏せた点もあるのですが、色々書き足りていないためのところも多く……ちゃんと龍と人間について、いつか書いてみたいと思っています。

 再び、どうもありがとうございました!
  1. 2006/11/11(土) 14:38:55 |
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  3. 立田 #4vlN.j5I
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立田さん、いらっしゃいませ^^

>比較的苦手とするファンタジー
ええっ^^; そうだったのですか?
立田さんには、「現実のこちら側」にからくも踏みとどまっているのだけれど、「向こう側」が透けて見えている、、ような作品が多いイメージがありました。。。たしかに、『Encyclopedia Dragonica』は「向こう側」に踏み込んだ作品ではありますが^^
  1. 2006/11/11(土) 18:30:53 |
  2. URL |
  3. 麻生新奈 #z8Ev11P6
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