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立田氏『ドッペルコンチェルト』(現代、85枚)

バイオリンを学ぶ二人の少女を描く2編。立田氏サイトが短期復活ということで、以前に書いた感想をアップさせていただくことにしました。
■立田氏サイト『』→目次→ドッペルコンチェルト【第一ヴァイオリン/フリーダ】【第二ヴァイオリン/リーゼロッテ】


以下、ネタバレ感想。
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 ドッペルコンチェルト、CDを入手して聞いてみました。

>どちらかといえばシンプルな旋律で、確かにこれなら数回の練習で合わせられるようになるに違いなかった。
>最初のフレーズは第二ヴァイオリンだけだ。音階のように几帳面なメロディは低音から始まる。それから第一ヴァイオリンが、主題を一段高い位置で繰り返しながら飛びこんで、二重の旋律がはしりだす。

 絡み合う2つの旋律を聞きながら、最初のフレーズから連なる第二バイオリンはもっとストイックに緊張度を高く、途中から入る第一バイオリンはもっと派手やかに官能的に、……、と想像してみるのは、私にとっては初めての聞き方でしたが、楽しい作業でした。

 感想を書くたびに登場するモノを買いととのえたりするわけではないのですが、この作品は実は初めて読んだ立田さんの作品だったので、ことさらに印象も強く、どんな曲だろうとずっと気になっていたのです(正確には『Daphne』のほうが先ですが。立田さんの作品だと知らなかった頃なので)

 二人のヒロインがとても魅力的な作品だと思っております。

 初読の際は二人のコントラストの鮮やかさが目をひきました。

 リーゼロッテはほっそりとして、ストイック。母との関係性のなかでバイオリンを弾いている。生別なのか死別なのか、よくわからなかったのですが(読み落としでしたらごめんなさい)、物語にとっては、どちらでもいいことで。とにかく、今、目の前にいない相手へのこだわりを感じます。

 フリーダは、豊満で、官能的で。金銭的には甘やかされている面がありながら、実は、共に生活している父に期待されていないことを感じている。……【第一ヴァイオリン/フリーダ】のラストでは、期待を求める自分を振り切るように、自分の道を選んだ雰囲気が出ていて、好きでした。

 ただ、再読して思ったのですが(そして、あたりまえの事かもしれませんが)、コントラストだけでは、ここまで魅力的な人物像になるわけはなく。

 フリーダは一見享楽的でも、
>傷口に塩を塗りこむように紡いだ言葉には本音と牽制を半々に混ぜた。
>自分の中に嗜虐的な喜びがあったのを、フリーダは見ないようにした。
「頭の良さ」をぎらぎら押し出すタイプではないにもかかわらず、他人とのコミュニケーションに対して非常に自覚的。実はとても賢い少女なのだと思います。

 ストイックで平静に見えるリーゼロッテにも、フリーダへの嫉妬の波があり、ドアを乱暴に閉めてみる激しさがあり。

 二人がそれぞれに類型化された享楽的/ストイックではなく、いろいろな面をもつ深みが描かれていることを、実感しました。

 外面と内面が、それぞれ描きだされているのは、一つの物語を二人の双方から描いたこの作品の形式も、あずかるところが大きいのではないかと思います。


>あのコンサートの際に二人を組ませたのは教師達の策略だったと、いまさら詫びを乞うような顔で暴露され
 二人の生徒がそれぞれに音楽への情熱をもつように、教師たちにもそれがあるはずで。
「あの二人を組ませてみよう」
と、イタズラを企むようにわくわくとした目をする教師軍団と、自分の生徒がコンサートのラストにソロを演奏することとイタズラの楽しさを秤にかけて、複雑な表情をしていた(かもしれない)二人の教師を想像すると、ちょっと、笑えます。

 この作品のおかげで、素敵な一時を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

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- オンラインノベル読書感想記/小説・文学

  1. 2007/03/13(火)
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コメント

ありがとうございます

 こんにちは、麻生さん。早速、ご感想をありがとうございます。(拙サイトが不定期限定のため、煩わしいこととなってしまって申し訳ございません!)

 もう書いてから随分たってしまいましたが、いまでも書いていた時の気分を思い出すことができる、(いささか個人的な感傷がある)話なので、ご感想をいただけてとても嬉しいです。そして、モデルとなった曲を聴いていただけた、というのは作者として果報につきることです…。本当にありがとうございました。

 競作企画、心より応援しております!
  1. 2007/03/14(水) 12:23:24 |
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  3. 立田 #4vlN.j5I
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  1. 2007/03/30(金) 14:43:11 |
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  1. 2007/04/16(月) 19:58:53 |
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すみませんっ

なんか全体にばたばたしてまして、コメントレスのタイミングを完全に失ってました。
時間の隙間に、記事転記だけは「作業」としてはやったのに。。。

これぢゃだめですね、せっかく作ったブログなんだからもうちょっと真面目に運営せんと。
  1. 2007/05/19(土) 16:26:11 |
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  3. 麻生/阿檀 #nzi/10PQ
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